【活動報告】8月6日の空に響かせた祈り：五感で平和を体験するライブイベントレポート

こんにちは。合同会社じぶんらしく代表社員の寺嶋です。

先日8月6日、広島に原子爆弾が投下されてから80年という節目の日、ピアニストの大前チズル氏主催の特別なライブイベント「Ask the sky on August 6th 8月6日の空に描く、奏で、話す」に、参加させていただきました。Gorey Cafe 2Fという親密な空間で、多くの方々と共に平和への想いを分かち合う、深く記憶に残る一夜となりました。

目の前で生まれる、予測不能なアートと音の共鳴

このイベントは、私にとって8月6日に行う2度目のライブペイント。特筆すべきは、Gorey Cafeの会場の距離感です。観客席と絵を描く場所が非常に近く、絵の具が飛んでくるのではないかと心配になるほど、本当に目の前でアートが生まれる瞬間の迫力を感じていただけたと思います。私のライブペイントはいつも筆を使わず、絵の具を直接手につけて描くスタイルなので、その手から、身体から、音に呼応して色が広がる様子は、よりダイレクトに伝わったのではないでしょうか。

今回は、来場者の皆さんの「期待を嬉しく裏切る」ことを楽しみに、ある仕掛けを用意しました。

イベントのオープニングは、Nao氏による心温まる絵本朗読と、大前チズル氏のピアノ演奏から始まりました。Nao氏の朗読は本当に素晴らしく、会場全体が物語の世界に引き込まれていくようでした。

その後、大前さんの即興自由演奏が続く中、私が絵を描き始めると思いきや、用意したのは水で描いて乾くと消える特殊な紙。そして、絵を描く道具ではない、掃除用のブラシやスポンジを手に、何人かのお客さんに声をかけ、ステージ上で自由に描いてもらうことを試みました。

上手く描こうとしても描けるはずのない道具と、水を使うので汚れる心配もない環境。お客さんには、その場のノリと、純粋な好奇心で描くことを楽しんでいただけたようです。ステージを終えた後、協力してくれたお客さんの「楽しかった！」という言葉と、その目がキラキラと輝いているのを見て、私自身も胸が熱くなりました。

大前さんの演奏のリズムが変わってきたところで、消える紙から大きなパネルへと切り替え、ここからは私が踊りながら絵を描きました。

大前さんとのライブペイントが終わった後、短い休憩を挟み、再びステージへ。今度は広島出身の末田力氏が奏でる音源モジュールと笛の音に合わせて、私は別のキャンバスに絵を描きました。 より強力な音の波に合わせて、私の身体が音に呼応し、色がキャンバスに広がっていく。事前に打ち合わせをしない即興だからこそ、大前さんがどんな音を奏で、末田さんがどんな音の世界を創り出すのか、そしていつ演奏が終わるのか、私自身にも予測できません。なにが生まれるかわからない、その「未知」の空間に飛び込むことで、思考を超えた感覚が研ぎ澄まされ、会場全体が感性の渦に巻き込まれていくようでした。

ライブペイントが引き出す「共感の渦」

この体験について話しているうちに、私自身も驚くような気づきがありました。

「私がこうやって踊りながら、手に絵の具をつけて自由に描いたり、ときには絵の具を投げたりしているところを見ると、見ている人も脳内で一緒に絵の具を投げたりしているのかもしれない。みんな、本当は踊ったり、自由に絵を描いたりしたいのだと思います。それを目の前で代わりにやってあげることで、擬似的に一緒にやっている感覚になる。だから、描いているところを見ていると元気になったり、『私もやってみようかな？』と思ったりするのかもしれません。」

これは、私自身がライブペイントをする理由の一つが明確になった瞬間でもありました。思考的に捉えるとなにが起こるのかわからないイベントかもしれませんが、だからこそ、感性を解放した状態で、今ある核の問題や戦争、環境問題について考えてみると、また違ったアイデアや視点が生まれてくるかもしれません。

そして演奏後には、ジャーナリストの守田敏也氏が登壇してくださいました。守田氏からは、テレビでは語られない貴重なお話を聞かせていただきました。最初の原爆の被害は日本人ではなくアメリカ人であったこと、度重なる核実験によってすでに多くのアメリカ人が放射能にさらされていること、そしてご自身が被爆二世であることやお母様のお話など、心に訴えかけられる真実の言葉は、参加者一人ひとりが核や平和について、新たな視点を持って深く向き合う貴重な時間となったのではないでしょうか。

この特別な機会を与えてくださった主催の大前チズル氏、素晴らしい音と語りを届けてくださった末田力氏、守田敏也氏、Nao氏、そして会場を提供してくださったGorey Cafeの皆様、ご来場くださった全てのお客様に心より感謝申し上げます。